【実践】焚き火の組み方はこの4つ!キャンプで使える焚き火テクニック
焚き火をするとき、薪の組み方を気にせずにとりあえず火をつけていませんか?
実は、薪の組み方ひとつで焚き火はガラッと変わるものです。
“焚き火を制するものがキャンプを制する”とはよく言われたものですが、焚き火を知るとキャンプがより楽しくなるのは間違いないので、知っていて損はないでしょう。
この記事では焚き火の組み方から、焚き火で使えるちょっとしたテクニックについて解説していきたいと思います。
「焚き火で失敗したくない」「キャンパーがどうやって焚き火をしているのか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
【この記事のポイント】
・薪の燃焼メカニズム
・焚き火の組み方
・焚き火で使えるちょっとしたテクニック
編集者
Shun Honke
■ mypace outdoor運営者
公務員を退職後、不動産、広告代理店で営業兼コンサルタントを経験したのち、独学でマーケティングを学び、ITベンチャー企業でマーケティング担当に。その後、フリーランスとなり、趣味であるキャンプ・サーフィン
をするために宮崎県に移住。株式会社OUTRIPを設立し、アウトドアブランド「mypace outdoor」を立ち上げる。
contents
薪の組み方を覚える前に「薪の燃焼メカニズム」を知ろう
焚き火の組み方の前に、「なぜ薪が燃えるのか」薪の燃焼メカニズムを知る必要があります。
みなさんも、一度は「上手く薪が燃えない…。」という経験があるのではないでしょうか。
薪が燃える燃焼メカニズムを知ることで、
・なぜ上手く燃えないのか
・なぜ途中で火が弱くなってしまうのか
など、焚き火の疑問がすべて解消されるはずです。
もちろん、焚き火では薪の組み方も重要ですが、燃えるメカニズムを理解していないと薪の組み方を覚えても意味がありません。
まずは、薪がどのようにして燃えるのか、そのメカニズムを理解しましょう。
焚き火で薪が燃える燃焼メカニズム
燃焼の3要素は「可燃物」「酸素」「熱」の3つです。
このうちの1つでも欠けると燃焼は起こらず、逆に火を消したい場合はどれか1つを絶てばいいというわけです。
多くの人が勘違いしているのは、焚き火では薪自体が燃えるのではなく、薪から発生する可燃性ガスと空気中の酸素が結びついて燃焼するということ。
気温の低い日は、とくに薪の温度が下がり、火をつけても可燃性ガスが発生するまで時間がかかってしまうため焚き付けが難しくなります。
そんため、気温の低い日のキャンプでは、薪から可燃性ガスが発生させるためになるべく多くの着火材を準備しておきましょう。
参照:ものはなぜ燃えるのか|総務省消防庁 消防大学校 消防研究センター
焚き火を成功させる薪の使い方
焚き火で焚き付け(着火)に苦戦する原因は大きく
・着火材の量が少ない
・薪を動かしてしまう
・薪が熱せられる前に空気を送って温度を下げる
などです。
とくに気温の低い日の焚き火では、薪の温度を上げないと可燃性ガスが発生しないので、着火材の量は重要なポイントです。
小枝や割り箸でも問題ありませんが、初心者の方は固定燃焼やその辺に落ちている松ぼっくりなどを拾っておきましょう。(松ぼっくりは着火材として使えるのでとても便利です)
また、気温の低い日は、熱のロスをいかに無くすかがポイントとなるので、薪の温度が上がる前は「薪を動かす」「空気を送る」などの温度を下げる行為を控えるのがおすすめです。
【実践】焚き火の組み方はこの4つ!
焚き火での薪の組み方はいくつかありますが、代表的なのはこちらの4つです。
- 並列型
- 井桁(いげた)型
- 合掌(閉じ傘)型
- 合掌(開き傘)型
薪の組み方で燃焼効率が大きく変わるので、それぞれの特徴を理解しておくのがポイントです。
➀並列型
もっとも簡単で初心者でも使いやすいのが「並列型」です。
組み方は至ってシンプルで、1本太めの薪を枕木として置き、その枕木の上に平行に薪を並べます。
このとき、上に並べる薪は平行ではなく放射状で問題ありません。
基本的に、並列型の火力は枕木側が高く反対側が低くなるので、上手く活用すれば調理もしやすくかなり便利です。
例えば、鍋や炒め物などの火力が必要な料理は枕木側で行い、保温や弱火でする料理は反対側で行うなど、ひとつの焚き火で2通りの使い方ができます。
並列型は着火もスムーズにできるので、比較的初心者の方でも使いやすい組み方といえます。
並列型のポイント
- 着火までがスムーズで初心者向き
- 火力を調整しやすく料理にも使える
- 薪をくべやすいので安全
➁井桁(いげた)型
そのエンターテインメント性からキャンプファイヤーなどによく使われる「井桁(いげた)型」
その名のとおり、漢字の「井」の形をしていることから名付けられていますが、ほかにも「キャンプファイヤー型」や、ログキャビンの構造に似ていることから「ログキャビン型」などとも呼ばれています。
キャンプファイヤーをイメージすると分かりやすいのですが、井桁型は一気に火柱が上がって迫力や写真映えする一方で、すぐに燃え尽きてしまうというデメリットがあります。
とはいえ、数人でキャンプに行った際は燃焼効率のことなど忘れて、ついついやってしまうほど、ワクワク感がありテンションが上がる組み方です。
冬のキャンプでは暖を取るのにも最適なので、ぜひ試してみてください。
井桁型のポイント
- 火が付きやすいので初心者におすすめ
- 炎が高く上がるので写真映えする
- 冬場は暖を取るのにうってつけ
- 燃焼効率が良いので、すぐに薪がなくなる
➂合掌(閉じ傘)型
井桁型と同様、炎が大きく上がるので見ていて楽しいのが「合掌型」です。
その見た目から「ティピー型」や「閉じ傘型」とも呼ばれています。
閉じた傘のような三角形になるように薪を組む合掌型は、一見簡単そうに見えますが意外とセッティングに手間取る可能性があります。
直火できるキャンプ場なら組みやすいのですが、焚き火台によっては組みづらいものもあるので、薪が安定しない場合は危ないのでやめましょう。
また、風が強い日は太い薪でないとバランスが悪くなるので、その場合も注意が必要です。
合掌(閉じ傘)型のポイント
- 着火が難しいので経験者向け
- 薪が崩れやすいので目は離せない
- 細い薪だけ倒れやすいので、太めの薪で行うのがベスト
- 火が付くと高い炎が上がるのでテンションが上がる
➃合掌(開き傘)型
閉じ傘型とは反対に、開いた傘にようになっているのが「合掌(開き傘)型」です。
ほかの組み方に比べると高さがない分、炎は小さく、少ない薪で長時間焚き火を楽しむことができます。
実際に合掌(開き傘)型で焚き火をすると分かるのですが、薪が合わさった中心部分からどんどん薪が燃えていくので、少しずつ薪を中央に寄せていく必要があります。
少し面倒に感じるかもしれませんが、焚き火台を囲みながら談笑する場合などにはおすすめです。
合掌(開き傘)型のポイント
- 小さい炎でじっくり焚き火を楽しむ
- 煮込み料理などに最適
- 薪を中心に移動させる手間がある
- のんびりしたい人におすすめ
【初心者向け】知っておきたい焚き火で使えるテクニック
失敗することなく、上手く焚き火をするコツを知りたいという方も多いでしょう。
焚き火は奥が深く、やり方・楽しみ方は人それぞれで、何通りもあります。
そのため、やっていく中で自分のスタイルを見つけていくのがベストなのですが、ここでは初心者の方に向けて、焚き火で使えるちょっとしたテクニックを紹介していきます。
フェザースティックを着火剤にする
キャンプの焚き火では着火材を使うことが多いと思いますが、よりサバイバル感を出したい方にはフェザースティックがおすすめです。
フェザースティックとは、薪を細く小さくカットし、ナイフなどで薄く削り羽毛(フェザー)のようにしたもので、「火口(ほくち)」や「着火材」として使えます。
ただし、いきなりぶっつけ本番でフェザースティックに挑戦するのは危ないので、まずは割り箸などで練習しておくと良いでしょう。
燃焼時間の違う薪を使い分ける
薪には大きく「針葉樹」と「広葉樹」の2種類があります。
木の種類によっても微妙に異なりますが、一般的には“針葉樹は着火しやすいがすぐ燃え尽きる木で、広葉樹は着火しづらいが火持ちが良い木”です。
そのため、薪を効率よく使って長時間焚き火を楽しみたい場合は、着火など初動は針葉樹の薪を使い、そこから広葉樹の薪に炎を燃え移すなど、薪を使い分けるのがおすすめです。
しかし、キャンプ場にはどちらかの薪しか売っていない場合もあるので、キャンプに売っていない方はホームセンターなどで調達するようにしましょう。
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焚き火の放射熱を利用する
意外と知られていませんが、焚き火の放射熱を利用して薪を乾燥させるという方法があります。
薪は湿気や水分を含んでいるとよく燃えません。
そのため、焚き火の周りなどに薪を置き、放射熱を利用することで、余分は水分を飛ばし芯まで乾燥されることができます。
乾燥した薪や着火もしやすく、薪が弾けることも少なくなるので、火の粉で服やブランケットに穴が空く心配もなくなるでしょう。
目的に合わせて焚き火の組み方を調整する
この記事でも焚き火の組み方を4つ紹介しましたが、それぞれに特徴があり、メリット・デメリットがあります。
どの組み方をしても良いのですが、出来れば目的に合わせて組み方を調整することをおすすめします。
例えば、合掌(開き傘)型は火持ちがいいですが、炎が小さく火力を必要とする調理には向いていません。
また、みんなで焚き火をして盛り上がろうとなっているときに、炎の小さい焚き火では盛り上がりにも欠けてしまうでしょう。
このように、目的や雰囲気に合わせて焚き火の組み方を調整することで、焚き火をする意味がより出てくるはずです。
焚き火の準備は必ず手袋(軍手)を
たまに、素手で焚き火の準備をする方がいますが、これは危険なので絶対にやめましょう。
薪を素手で持つと、薪の繊維が手に刺さりケガをしてしまう可能性があります。
焚き火だけに限らず、キャンプで作業をする際は、皮手袋もしくは軍手の着用をおすすめします。
ケガをしてしまっては、せっかくの楽しいキャンプも台無しです。
何事無く焚き火を楽しむためにも、自分の身は自分で守るようにしましょう。
薪を組みやすい!円盤タイプの焚き火台2選!
焚き火台によって、薪を組みやすい焚き火台と組みにくい焚き火台があります。
ここでは、薪を組みやすく、焚き火自体を楽しめる焚き火台を紹介します。
コールマン:ファイヤーディスク
軽量かつ、3秒で設営が完了するコールマンの焚き火台「ファイヤーディスク」
円盤型なので薪を組みやすく、焚き火自体を楽しみたい方におすすめです。
また、ダッチオーブンを乗せられるように重量は30㎏と安定感があり、焼き網が付いているのでBBQなどでも使用できます。
素材もステンレスでサビにくく、メンテナンスもラクなので、初心者の方にもおすすめの焚き火台です。
DOD:ビートルくん
コールマンのファイヤーディスク同様、円盤型なので焚き火の薪を組みやすく初心者でも使いやすい焚き火台です。
特徴は、ハンガーポールが付いており、ダッチオーブンやポットなどを吊り下げられることで、円盤に直接置くコールマンのファイヤーディスクとは少し仕様が変わります。
4本の脚を取り付ける作業が必要ですが、慣れれば問題なく、そこまで心配する必要はありません。
ちなみに、焚き火の組み方で掲載している写真はビートルくんを使用していますので、イメージの参考にしてください。
高い炎を楽しむ!深底タイプの焚き火台2選!
深底タイプは薪が落ちる心配もなく、何より高い炎を楽しめる人気のタイプです。
ここでは、中でもおすすめの2つを紹介します。
コールマン:ステンレスファイヤープレイス
空気の流れを作りやすく、燃焼効率の高い井桁型の構造となっているコールマンの「ステンレスファイヤープレイス」
まさに高い炎でキャンプファイヤーを楽しみたい方におすすめの焚き火台で、折り畳むとコンパクトに収納できるところも魅力です。
値段は少し高いですが、焚き火も楽しめて料理もできる、マルチプレーヤーなのでコスパは良好といえます。
キャプテンスタッグ:ファイアグリル
ソロキャンプから少人数のグループキャンプで使いやすいのが、キャプテンスタッグの「ファイアグリル」です。
深底タイプなので薪を斜めに入れることも可能で、焼き網をセットすればBBQもしやすくなっています。
値段も1万円以下とリーズナブルながら、安定感のある作りなので初めての焚き火台にもおすすめです。
まとめ|焚き火の組み方でキャンプが変わる
焚き火は奥が深く、突き詰めるとキリがありません。
この記事で紹介した焚き火の組み方がすべてではなく、ほかにもさまざまな組み方があるので、興味がある方はチェックしてみてください。
薪の組み方ひとつで焚き火は大きく変わり、キャンプの楽しみ方や見え方も変わるはずです。
焚き火の組み方に迷った方は、この記事を参考にしてみてください。